●宝石プロフィール

 

真珠は貝の体内で生成される宝石で、
小石や寄生虫などの異物が、貝の体内に侵入した時に、
貝殻成分を分泌する外套膜(がいとうまく)を分泌して、
異物で自身に傷つかないようにその中にまるめこみ、
自分にとって害のないようにしていくことで既成されるのが
天然真珠。
外套膜の成分は、貝殻と同じで、
貝殻を作る軟体動物であれば、
真珠を生成する可能性があるそうです。

ちなみに養殖真珠は、
その貝の特性を利用し、丸い人工の「核」を貝の中に入れて
つくります。


・本真珠
おもに、アコヤガイから採れる真珠のこと。
本来は鮑玉(あわびだま、アワビの内部に形成される天然真珠)のことを
指していたそうです。
※貝パールなどのイミテーションではないという意味も含んでいます。

・南洋真珠(白蝶真珠)
シロチョウガイ(白蝶貝)から産する真珠。

・黒蝶真珠(黒真珠)
クロチョウガイ(黒蝶貝)から産する真珠。

・マベ真珠
マベガイ(マベ貝)から産する真珠。

・コンクパール
西インド諸島のカリブ海に生息するピンク色の巻貝から産する真珠。
珊瑚のようなピンク色に(白、黄、茶もあり)火焔模様が見られるのが特徴。
人工的に核を挿入することが不可能であるため、
コンクパールのほとんどが天然の真珠ですが、
2009年11月、GIAのG&G eBriefにより
養殖コンクパールの成功が報告されています。


・淡水パール
イケチョウガイやカラス貝といった、淡水生の貝の中に出来る真珠

 

 
 
 
 
 

●宝石ストーリー

 

真珠は比較的古い時代から、装飾品として愛されてきた宝石の一つで
ペルシャで紀元前7世紀頃、
ローマでは紀元前3世紀頃
中国では紀元前2300年頃から
真珠が用いられていたという記録が残っています。


・中国
紀元前2206年に、
中国の歴史家による天然真珠の最古の記載があるそうです

・日本
日本は古くから真珠の産地として有名で
北海道や岩手県にある縄文時代の遺跡からは、
糸を通したとみられる、穴が空いた淡水真珠が出土しているそうです。
「魏志倭人伝」にも、邪馬台国の台与が曹魏に白珠(真珠)5000を
送ったことが記されていたり
「日本書紀」や「古事記」、「万葉集」にも真珠の記述が見られ、
「万葉集」には、真珠を詠み込んだ歌が56首含まれるそうです。
(当時は「たま」「まだま」「しらたま(白玉)」などと呼ばれた。)

日本の真珠の美しさはヨーロッパまで伝えられ、
コロンブスも憧れたといわれています。

・仏教
仏教の七宝に数えられることもあり、
寺院跡地からは建立時の地鎮祭に使われた
鎮檀具の一つとして真珠が出土することも。


・エジプト クレオパトラ
クレオパトラがエメラルドと並び愛した宝石の一つで、
彼女にまつわる真珠のエピソードが、数多く残っています。
一説によると、彼女は月曜日生まれで、
月が守護星だったことから、
月の支配する宝石である「真珠」を
身に着けたとも言われています。

プリニウスの「博物誌」には、
クレオパトラが、ローマの将軍アントニウスのために
豪華な宴会を開いた時、
彼女は大切にしていた
世界で最高にして最大の真珠のイヤリングを片方、
酢の入った杯に投げ入れて真珠を溶かし、
「ローマとエジプトのために」と乾杯し、
一気に飲み干したといわれています。
さすがのアントニウスもこれには驚き、
彼女がもう片方のイヤリングを
杯に入れるのを阻止したといいます。
また、その時に残った片方のイヤリングは、
後にローマに戦利品として持ち込まれ、
パンティオン神殿のヴィーナス像の
イヤリングになったと記されているそうです。


ちなみに、
クレオパトラの時代には、
今、私達が「真珠」として思い出す、
真円の「養殖真珠」ではなくて、
天然の貝から偶然採取した、
形のいびつな真珠しかなかったはずなので、
「世界で最高にして最大の真珠」といわれた、
クレオパトラのイヤリングは一体どんなものだったのか、
想像するだけでときめきます。


・バロック様式
「バロック音楽」「バロック建築」など
「バロック」とは、ポルトガル語で、「歪んだ真珠」という
言葉からきているといわれています。
バロック芸術は、動きが誇張され、凝った装飾、強烈な光など、
劇的な効果が、緊張やドラマティックさを生み出しています。
それが、
不完全な丸さを持つ真珠のことを「バロック真珠」と呼んでいたことと
比喩的な意味で、いびつ、奇妙、不規則さを醸し出していた
当時の建築・音楽・美術の各分野の一様式をさす言葉に
なっていったようです。


・イギリス
元英国プリンセスの故ダイアナさんは、
真珠を愛し、
真珠のドッグネックレスを愛用していました。
ちなみに、
「ダイアナ」という名前は、月の女神の名前であり
月と関係が深い真珠を愛していたのかもしれません。

 
 
 
 

●癒しと活用法

 
 

真珠の鉱物にはない
有機物独特のあたたかさ、やわらかさが、
感情をまるくし、柔らかくしてくれます。
女性本来の持つやさしさや、やわらかさを、
真珠は思い出させてくれます。

聖母のように、相手を包み込むような
いたわりと慈悲と愛を授けてくれます。

 
 

●ジュエルメッセージ

 

「すべての経験は魂の成長の糧。悲しみや苦しみを乗り越えることで、
魂は磨かれ、成長し、人はさらに優しさや強さを身に付けます。」


真珠は、会の中に、異物が中に紛れ込むと、
それから身を守るために「外套膜(がいとうまく)」という
体液を分泌して、その中にまるめこみ、
自分にとって害のないようにしていきます。
やがてそのうちに、その異物を自分の一部として、
大事に育てていくようになり、
そうして出来たのが「真珠」です。

また、養殖真珠は、その貝の特性を利用し、
丸い人工の「核」と呼ばれるものを貝の中に入れるのですが、
貝にとっては大手術で、
傷口が癒えるのに二週間前後もかかり、
この間に約一割もの貝が死んでしまいます。
そうした中で、貝が生み出した真珠の輝きと美しさは、
そうした「痛み」を克服して作り上げたからこその輝き。

ダイヤモンドをはじめ、
他の鉱石はすべて研磨されなければ
美しく輝くことは出来ませんが、
真珠は、出来たときから、輝いている唯一の宝石です。
でもそれは、何もしないままで輝いているのではなく
真珠になっていく過程の中で、生まれた輝きなのです。

また、痛みを克服し、美しく輝く真珠は、
様々な困難を乗り越え、思いやりとやさしさを、
敬虔を通じて身をもって得てきた女性の
輝く笑顔にも似ています。

その時は辛くて苦しい出来事も、振り返ってみれば、
自分の成長のために必要な出来事だったんだ…、と、
後になって思う事があるように、
様々な困難と思えるような出来事を、
乗り越えていくプロセスは、その人の人格を成長させ、
魂を磨いていきます。

真珠が、自分を傷つけるかもしれない異物から
わが身を護るために、外套膜で異物を包み込み
最後には、それをいとおしむかのように
真珠へと育てていく。

人生とは、経験するためにあるものであり、
魂を
成長させるプロセスでもあり、
ある意味、自分なりの真珠を育むようなもの。


自らの経験を糧として、真珠のように輝く魂へと
成長し、真の優しさ、強さを身に着けていきましょう。

 

 

●心理的テーマ

 

・魂の成長
・慈愛
・自己成長
・自分を育てる

 

 

 

 

 

 

●宝石データファイル

 
 
鉱物名 パール(真珠)
結晶系 炭酸カルシウム、コンキリオンおよび水
化学組成 斜方晶系
硬度 3
鉱物学的注意事項あれば 酸、熱、水に弱い
 
 
 
 

●お手入れ

真珠は、ちょっとした砂やほこりでも傷がつくことがあり、
また、酸性の汗などにも弱いので、
身に着けたあとは必ず柔らかい布などで拭いてからしまって下さい。
化粧品や整髪剤にも弱いので、お化粧が終わってから身に着ける

超音波洗浄器、スチームクリーナーは避ける

 

 

●その他